第308章

風見紬の発言が、この場においてあまりに常軌を逸した暴言であることは明白だった。それは榎本先生への冒涜にも等しく、周囲からは非難の声がさざ波のように漏れ聞こえてくる。

「あの女、絵心がまるでないのか? よくもまあ、あんな口が利けたものだ。榎本先生の真髄は細部に宿るんだぞ。虫眼鏡で覗いたところで一点の曇りもないのが特徴だというのに」

「あの女、榎本先生より上手い画家が五万といるなどと宣ったか? ならばなぜ、その連中は名を成していないんだ?」

「さては自分の持ち込んだ絵が偽物だったから、妬んで癇癪を起こしたんじゃないか?」

「……」

囁かれる陰口は、平手打ちのように風見紬の頬を張った。激...

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