第309章

傍らに立つ神原文清は、慈愛に満ちた眼差しで彼女を見つめていた。その瞳には隠しようのない誇りが宿っている。周囲の賞賛が単なるお世辞に過ぎないことは承知の上だが、それでも妻が優秀であるという事実は揺るがないからだ。

会場の視線が一身に渕上純へと注がれていた、その時である。

「その絵、偽物よ」

突如として、場の空気を凍りつかせる無粋な声が響いた。

喧騒は瞬時にして止み、あたりの空気は水を打ったように静まり返る。人々は示し合わせたかのように、声の主へと視線を向けた。

そこには、無表情のまま腕を組み、冷ややかな視線で周囲を睥睨する風見紬の姿があった。

楓田麻衣は不快げに眉をひそめる。風見紬...

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