第326章

神原お婆さんの視線を受け止め、渕上純は静かに微笑んだ。「実のところ、わたくしたちが何を言っても無駄なのだと思います。あのような環境で生まれ育ち、あのような生業に就いている以上、すべては避けようのないことですから」

お婆さんの目尻が喜色に緩む。「そうさね。お前という子は言葉こそ率直だけど、人を傷つける棘がない。実にさっぱりとしていて気持ちがいいよ。おばあちゃんはそういう実直なのが好きさ。……今夜の風見紬とは大違いだ。あの女の言動はすべてが芝居じみている。顔を見ただけで吐き気がするよ」

再び風見紬の名が出ると、純は心中で密かな憐憫を覚えた。かつては神原文清が見初めた女だ、単に我が強くて奔放な...

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