第329章

渕上純はいま、神原文清と真面目な話をしている。だから余計な雑談は挟みたくない。話すなら、きちんと話したいのだ。

「どうして私と別れた時は六千万円だったのに、風見紬には二億も渡したんですか? 彼女とはくっついたり離れたりしていたのに。ただの差別ですか?」

それを聞くと、神原文清は口元を綻ばせ、余裕のある表情を浮かべた。

「つまり、お前はそのことでも怒っているわけか?」

「当たり前でしょう? 私が金に目がない女だってことは知っているはずです。あっちに二億で、私に六千万だなんて」

次の瞬間、男の手が彼女の手を包み込み、優しく指を絡めた。声色が柔らかくなる。

「そんなに理由が知りたいか」...

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