第359章

渕上純は、中村修と中村瑞に視線を向けて言った。

「あなたたちも中へ入るのですか?」

中村瑞は慌てて首を横に振る。

「いえ、私は結構です、奥様。まだ処理しなければならない仕事が山積みですので」

もちろん、中村修も野暮ではない。彼はわざとらしく咳払いを一つした。

「俺も用事があるんでね。お二人でごゆっくり。ほら瑞、行くぞ」

言い終えるや否や、中村修は中村瑞の腕を引いて強引に向きを変えさせ、そのまま脇にある会議室へと連れ込んだ。

バタン、と扉が閉まる音が響く。渕上純は気だるげに瞼を持ち上げ、神原文清を一瞥しただけで、無言のまま社長室へと足を踏み入れた。神原文清もその背中を追うように入...

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