第365章

社長室のドアの前まで来ると、今回ばかりは渕上純もノックをすることを選んだ。また以前のように、見てはいけないものを見てしまうのは御免だからだ。

コンコン、と扉を叩く。部屋の奥から足音が近づいてくるのが聞こえ、やがてドアが開くと、そこには神原文清の姿があった。

「まさか神原社長自らドアを開けてくださるなんて、光栄ですわ」

渕上純は冗談めかして言った。

対する神原文清は、呆れたような視線を向けてくる。

「渕上純、まだふざけているのか? 今後、俺のオフィスに入るときはノックなどいらない。そのまま入ってくればいい」

渕上純は片眉を上げた。

「それはよくありませんわ。私が礼儀知らずに見えて...

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