第366章

「食べません。食べたければご自分でどうぞ」

 渕上純はそう呟いた。もっとも、神原文清がそんないかにも怪しいものを口にするはずがないと高を括っていたのだが。

 ところが、言葉が終わるか終わらないかのうちに、なんと神原文清は餅を一口齧り、あろうことかじっくりと味わい始めたではないか。

 純は目を丸くした。

「本当に食べたんですか!?」

「食えない理由なんてないだろ。婆さんの腕は相変わらずいい。本当にお前、一口も食わないつもりか?」

 そう言って、神原文清は一口齧った餅を、再び純の口元へと差し出した。

 純は反射的に一歩後ずさり、あからさまに嫌そうな顔をする。

「食べませんったら。...

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