第386章

新田佐美はこくりと頷き、親切心からこう口を挟んだ。

「神原社長。ですが、退院の手続きは翌日の正午に行うのが病院の規定だったはずです。奥さんには今夜一晩入院していただいて、明日の昼に私が手続きをするというのはいかがでしょうか?」

その言葉が落ちるや否や、神原文清は冷ややかな瞳をすがめ、眉間に深い皺を寄せた。

「俺に指図する気か? 俺の決定に口答えするのか、それとも、俺の代わりに決定を下そうとでもいうのか?」

新田佐美の表情が凍りついた。彼女は狼狽し、声を震わせる。

「神原社長……いえ、そんな……私、何か間違ったことを……」

ベッドの上の渕上純は額を押さえ、音もなく深い溜息をついた。...

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