第396章

幼い頃から「清く正しく恋愛し、結婚して家庭を築くこと」が真っ当な道だと教え込まれてきた。けれど、神原文清に出会ってからというもの、新田佐美の中で堅固だったはずの倫理観が、音を立てて崩れ始めていた。

本当の愛に、価値観・人生観・世界観の合致など関係ない、ただ好きであればいいのではないか——そう思い始めていたのだ。

人生は一度きりだ。好きな人ができたのなら、その手を離すべきではない。なぜ、窮屈なルールに縛られなければならないのか?

人間は一生、規律の中で生きなければならないものなのか?

「でも、あの人は既婚者ですし、やっぱり良くないんじゃ……」

新田佐美はまだ抵抗を感じていた。内心では...

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