第397章

病院での神原文清の溺愛ぶりと庇護を見れば、渕上純という人間がただ者ではないことは誰の目にも明らかだった。

それでも、礼儀として渕上純は軽く会釈をした。だが、それ以上の言葉は発しない。所詮は袖振り合うも多生の縁、深く関わる必要などないのだ。

校長室へ向かうと、彼女はノックをしてからドアを開けた。意外なことに、室内には馬田だけでなく、一組の中年夫婦の姿があった。

渕上純の姿を認めると、その夫婦は慌てて立ち上がった。どこか縮こまったような、卑屈な態度が見て取れる。

二人の正体に薄々感づいてはいたが、あえて問い質すことはせず、彼女は馬田に視線を向けた。

「校長先生、何かご用でしょうか」

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