第406章

 中村瑞の許可が下りると、新田佐美は顔をほころばせ、隠しきれない喜びを露わにした。

「ただいま奥様をお迎えに上がります。どうぞ私にお任せください」

 そう言い残すと、彼女は慌ただしく自席に戻ってグラスを置き、オフィスを飛び出した。

 すれ違いざま、同僚の一人が声をかける。

「佐美、どこ行くの?」

「神原奥様がいらっしゃるのよ。私が一階までお迎えに行くことになったの」

 新田佐美は誇らしげに答え、足早にエレベーターへと向かった。

 彼女の姿が見えなくなるや否や、いつものグループがまた集まってくる。

「今の聞いた? 神原社長が直々に新田佐美を指名して、自分の奥様を迎えに行かせたっ...

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