第420章

神原お婆さんは上機嫌に声を弾ませた。「もちろんだとも」

電話を切ると、渕上純の表情からスッと笑みが消え、元の冷静な顔つきに戻った。神原お婆さんの思惑は察しがつく。要は、夫にもっと尽くして、その心を繋ぎ止めろということだろう。

そう思うと、冷ややかな笑いが込み上げてくる。神原文清に振り回されて気分は良くないが、だからといって男の機嫌を取ったり、媚びを売って愛を乞うような真似はしない。それは渕上純の流儀ではないからだ。

彼女にとって、あらゆる関係は仮初めのものに過ぎない。永遠などありはしないのだ。

たとえ相手が、神原文清であっても。

もし彼が本当に裏切るなら、迷わずその元を去るだけの強...

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