第421章

話を聞いているうちに、神原文清の顔には微かな笑みが浮かんでいた。

ふと何気なく顔を上げ、人混みの中に佇む渕上純と視線が交錯した瞬間――彼のその笑みは、凍りついたように強張った。

彼の表情は困惑に染まっている。『なぜ、急に彼女がここに……』そんな心の声が聞こえてきそうだった。

渕上純の視力はいい。夫の顔に一瞬だけ走った微細な表情の変化――そこにあった「狼狽」と「失望」を、彼女は見逃さなかった。

その瞬間、心臓を巨大な手で鷲掴みにされたような痛みが走り、純は一瞬、息ができなくなるほどの窒息感を覚えた。

新田佐美もまた、純の存在に気づいた。彼女の顔に浮かんだ驚愕はすぐに消え去り、次いで浮...

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