第429章

実のところ、新田佐美はしばらく前から扉の向こうに佇んでいた。部屋の中から漏れ聞こえる二人の甘い睦言、そして最後に渕上純が放った「出てって」という台詞――そのすべてが、彼女の耳に届いていたのだ。

新田佐美にとって、それは考えられない事態だった。あの神原社長に対して、あんな口を利く人間がいるなんて? まるで悪夢でも見ているかのような、あまりに非現実的な光景だ。

しかし一拍置いて、渕上純にはそれだけの資格があるのだと悟った瞬間、胸の奥からどす黒い嫉妬が再び鎌首をもたげた。

プライベートで、神原文清は一体どれほど彼女を溺愛しているのか。これほどまでに増長させるなんて。

そう考えた途端、新田佐...

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