第434章

「いえ、結構です。ご自分の用事を済ませてください」

 渕上純は平然とした口調でそう告げると、彼女の手を軽く振り払って立ち去ろうとした。

 その直後だった。

 新田佐美の体がぐらりと傾き、ドンっという鈍い音と共に、甲高い悲鳴が響き渡る。

 しまった、と渕上純は心の中で舌打ちした。振り返ると、そこにはすでに地面に倒れ込み、体を丸めて指先を必死に押さえている新田佐美の姿があった。彼女の顔は苦痛に歪み、額には脂汗が滲んでいる。

 半開きになったドアと、苦悶する新田佐美の様子を見て、渕上純はハッとした。何が起きたのか、瞬時に察しがついたのだ。

 状況を確認しようと歩み寄ろうとした瞬間、新田...

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