第440章

五分あまりの沈黙を経て、ようやく渕上純が口を開いた。その瞳は凪いだ水面のように平淡で、神原文清を静かに見据えている。

「ええ、わかりました。あなたを信じます」

その瞬間、神原文清はまるで少年のように見えた。抑えきれない激情に息を弾ませ、顔には緊張と興奮が入り混じっている。

彼は腰を下ろすと、たまらず純を抱き寄せた。心臓が早鐘を打ち、全身の血液が沸き立つようだ。

「ありがとう、純ちゃん。信じてくれて、本当にありがとう」

渕上純は几帳面に頷いた。

「いいえ。私たちは夫婦ですから。どんな摩擦があろうと、まずは互いを信じることが大切です。そのことは、あなたが誰よりもよくご存じのはずでしょ...

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