第472章

髪を乾かし終え、渕上純がベッドに潜り込もうとした矢先、窓の外から車のエンジン音が響いてきた。神原文清が帰ってきたのだ。

彼女はあえて、あの夜のネグリジェを身に纏い、階下へと降りた。彼は言ったではないか、「そんな格好で他の男の前に出るな」と。

ならば、彼の前に出る分には構わないだろう。

ちょうどいい、彼を少し煽ってやろう。

階段を降りると、神原文清はバーカウンターでカクテルを傾けていた。足音に気づいた彼が目を上げ、彼女を見る。その視線が彼女の肢体を捉えた瞬間、男の瞳の奥に鮮烈な驚きが走るのを純は見逃さなかった。

渕上純もまた、彼を見つめ返す。その瞳は、艶然とした笑みを湛えて三日月のよ...

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