第491章

小林香理は息を吞んだ。おびえたように辺りを見回し、ぶるりと体を震わせると、絞り出すように言った。

「わたし……なにも見てない」

「ん? ほんとう? うそつきは泥棒の始まりだよ。正直に言わなきゃ」

千鳥燕はにっこりと微笑み、あろうことか小林香理の乱れた髪先に手を伸ばして優しく撫でた。

小林香理は恐怖を飲み込むように喉を鳴らし、首がもげるほどの勢いで横に振った。

「ううん、ちがうの。近くで遊んでたらお姉ちゃんを見かけただけ。でも、どうしてこんな暗い夜にひとりで中にいたの? 入り口まで行って帰ろうとしたんだよ。だってここ、すごく怖いもん。そしたらお姉ちゃんが走り出てきたから」

その言い...

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