第503章

「ゴホッ、ゴホッ……」

まさか、ほんの束の間の夢を見ていただけで、これほど凄まじい業火に包囲されてしまうとは。一瞬、ここが夢の中なのか現実なのか、区別がつかなかった。

思考を打ち破る、馴染みのある、それでいて切迫した声が響くまでは。

カッ、と目を見開き、自分が今まさに残酷な現実の只中にいることを悟る。

「渕上純! どこだ! 返事をしろ!」

煙が鼻腔を突き、堪えきれずに咳き込む。「ゴホッ、ゴホッ……」

「渕上純! そこにいるのか! 声が聞こえたぞ!」

間違いなく神原文清の声だ。空耳ではない。

「渕上純! 早く答えろ! 迎えに来たんだ! 返事をしてくれ!」

神原文清の焦燥に満ち...

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