第510章

「純ちゃん、今回君が無事だったのは、まさしく文清のおかげだよ。俺はあいつが火の海に飛び込んでいくのを目の当たりにしたんだ。消防隊員が七、八人がかりでも止められなかった。文清の立場や怪我のことを考えれば、あれは重大な規律違反になりかねない行為だった」

そう言って小林海は溜息をついたが、その瞳には神原文清への深い敬意が滲んでいた。

入院生活が長引くにつれ、渕上純もそういった事情は嫌というほど耳に入ってきていた。

この間、二人が火災現場で繰り広げたドラマは、院内でまたたく間に広まっていた。もはや「運命のカップル」扱いどころか、尾ひれがついて伝説めいた話にすらなっている。

火の中で心中を誓い...

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