第519章

とはいえ、渕上純を一体誰だと思っているのか。口八丁手八丁の彼女にかかれば、カマをかけるなど造作もないことだ。用心深い神原文清ならいざ知らず、中村瑞相手なら赤子の手をひねるようなものである。

そこで、渕上純は畳みかけるように言った。

「中村さん、私と神原文清の間に何があったか、傍観者であるあなたが一番よく分かっているはずでしょう? あの火事の中、二人して死ぬ思いで生き延びて、やっと退院できたのよ。私を騙すなんて……そんな酷いこと、できるわけないわよね? それに、教えてくれたとしても知らないフリをするから。絶対にあなたには迷惑かけないわ。ね、いいでしょう?」

中村瑞は嘘がつけない男だ。相手...

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