第124章 一度くらい、欲張ってもいいだろう

海棠湾。

御堂柊吾が手術を終えて、もう半月が過ぎていた。体内に残っていた毒は完全に抜けきっている。

冬木涼子がさらにしばらく調整を続けたおかげで、彼はとっくにベッドを離れ、車椅子で動けるまで回復していた。

その日、彼女は研究室を出たばかりで、本館のリビングへ戻った。

——御堂柊吾の姿がない。

田中さんが慌てた様子で駆け寄ってくる。

「若奥様、海棠園のほうへ……早く行ってみてくださいませ」

「どうしたの?」

涼子は首をかしげた。

最近の柊吾は、あちらでリハビリをしている。まさか、何かあったのだろうか。

考えるより先に、涼子は走り出していた。

午後の夕陽が燃えるように庭園を...

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