家族全員に殺された私、復讐のやり直しで街を揺るがす

家族全員に殺された私、復讐のやり直しで街を揺るがす

ダイーメーコン · 連載中 · 349.1k 文字

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紹介

クリスマスツリーの夜、私は雪の中で自分の家族に刺し殺された。最愛の妹は不敵な笑みを浮かべ、こう言った。「すぐに亡くなった夫と再会できるわね」

チャプター 1

冬木涼子は、生きたまま痛みに殺された。

あの日――W市の雪は空を裂くように吠え、世界そのものを白で呑み込もうとしていた。

彼女は手首の腱を断たれ、氷点下の雪原へ放り捨てられた。

鋭い刃が胸の大動脈を貫き、血が噴き上がる。

命を懸けて守ってきた妹が、すぐ傍で狂ったように笑った。

「冬木涼子、これがあんたの運命だよ。生きてる価値なんて、私のための動く血液バンクでしかないの」

「もう私の病は完治した。あんたの血なんて、残しておく意味もない。ゆっくり流し切って死ねばいい」

「……あ、そうだ。言い忘れてたことがあるの」

「あなたの夫、御堂柊吾。あんたが監禁されたって知って、手元の人間を全員、探しに出したんだって」

「自分ひとりで仇と向き合うことになってさ。半時間前に――相討ちで死んだよ」

「冬木涼子。もう誰も助けに来ない。この世界で唯一あんたを庇ってくれた人は死んだ。ここで、ゆっくり死んで」

冬木雨音は高らかに笑い、去っていった。

冬木涼子の心臓が、ぐらりと震えた。痛みで息が詰まり、肺がうまく膨らまない。

けれど、もう動けない。

激痛の波の中で呼吸は細くなり、意識は白く滲んでいく。

残ったのは、黒と白がくっきりした大きな瞳だけ。世界を壊し尽くすほどの憎しみを湛え、蒼茫たる雪景色を睨みつける――

御堂柊吾。いま、あなたのところへ行く。

……

冬木家別荘。

リビング。

ずらりと並ぶ視線が、冬木涼子を射抜いていた。

「冬木家が十七年も育ててやったんだぞ。うちが拾わなきゃ、お前なんてとっくに外で野垂れ死にだ。雨音の代わりに御堂柊吾へ嫁ぐだけでいい。それが福だってのに、まだ嫌だと言うのか!」

冬木紳助は怒りで顔を赤くし、ローテーブルのグラスを掴むと冬木涼子へ投げつけた。

冬木涼子は身をひねり、紙一重で避ける。

ガシャン――床に叩きつけられたグラスが、乾いた音を立てて砕け散った。その刺激が、ぼんやりした頭を無理やり現実へ引き戻す。

彼女は俯き、自分の身体を見た。

傷ひとつない。血の匂いもしない。

磨かれた床に映るのは、若く、まだ幼さの残る自分の顔――。

……生きてる?

それどころか。

五年前。冬木家に追い詰められ、御堂柊吾との結婚を押しつけられた、あの時だ。

冬木家の長男、冬木颯真が失望したように言い放つ。

「涼子。俺たちはお前に衣食住を与えてきた。十七年だ。たった一度の頼みも聞けないのか?」

「恩を返すってことを覚えろ。こっちが手を下す前にな」

末っ子の冬木陽斗も、横で汚い言葉を吐き散らしている。

冬木家の奥様、冬木美蘭が歩み寄り、慈愛の仮面を貼りつけた。

「涼子。ほら、お父さんもお兄ちゃんも、あなたのせいでこんなに怒ってる。私たちは家族よ? あなたを害するはずがないでしょう」

「御堂家に嫁げば、幸せになれるの。こんなお話、他の子なら土下座してでも欲しがるわ」

冬木涼子は、並ぶ顔をひとつずつ見た。

偽善。嫌悪。吐き気がするほどの薄っぺらさ。

口元だけで冷たく笑い、冬木美蘭へ言った。

「そんなに福が欲しい子がいるなら、雨音にあげればいいじゃない」

「あなた、雨音と比べる気?」

冬木美蘭の表情が一瞬で崩れ、顔色がどす黒く変わる。

冬木雨音は実の娘。冬木家の最も尊いお嬢様。甘やかされ、守られ、何不自由なく育った存在だ。

冬木涼子のような――拾われた子が並び立つなど、許せるはずがない。

当の冬木雨音は得意げに笑いながらも、殊勝な声を作って口を挟んだ。

「涼子、そんな言い方しちゃだめ。お母さまは、あなたのためを思って――」

「外では、御堂柊吾は残忍で、顔も醜くて、足も悪くて、長くないって噂だけど……御堂家は海外の貴族で、国際財閥も持ってるのよ」

「嫁いだら一生困らない。身分だって、どれだけ尊くなるか。みんな欲しくても手に入らないの」

そう言って、雨音は甘ったるく笑った。

その笑い声が――前世の雪の中のそれと、ぴたりと重なる。

冬木涼子の拳が、ぎり、と音を立てた。

血が抜けていく感覚。凍える寒さ。息ができない絶望。生きたまま痛みに削られていく地獄。

すべてが、もう一度、皮膚の内側から押し寄せてくる。

一瞬、喉元を捻り折ってやりたい衝動に駆られた。

だが、堪えた。

こんな死に方では、安すぎる。

前世――冬木雨音のための動く血液バンクにするため、冬木紳助と冬木美蘭は彼女を実の親の元から奪い、十七年もの間、肉親と引き裂いた。

価値を吸い尽くした途端、殺すことに躊躇はなかった。

冬木颯真が薬を盛り、冬木陽斗が眠った彼女の手首の腱を断つ。

雪の中へ捨て、冬木雨音が刃で動脈を貫き、最後の一滴まで搾り取った。

この恨みは――ゆっくり、確実に返していく。

冬木涼子は冷笑し、握りしめた拳をほどくと、そこにいる全員を見回した。

「いいわ。御堂柊吾に嫁いであげる。その代わり、条件がある」

「はあ? お前ごときが条件だと?」冬木陽斗が噛みつくように吐き捨てる。

冬木紳助と冬木美蘭も、喜びかけた顔を引きつらせた。

冬木紳助が怒気を押し殺して訊く。

「……条件とは何だ」

冬木涼子は淡々と言った。

「私が雨音の代わりに御堂柊吾へ嫁ぐ。それで、冬木家に育てられた恩は返し終わり」

「今日をもって、私は冬木家と絶縁する。今後いっさい、関係はない」

「……何だと?」

冬木家の面々が、一斉に固まった。

もっと金を要求してくると思っていたのだろう。拍子抜けしたような顔。

冬木紳助と冬木美蘭が目を合わせる。

結局、冬木涼子を養ったのは雨音への輸血のため。雨音の身体はもうほとんど持ち直している。涼子を手元に置く価値は薄い。

それに、御堂柊吾の荒い気性なら――冬木涼子は初夜すら越えられないかもしれない。

絶縁? 望むところだ。

冬木紳助は即座に頷いた。

冬木涼子は言葉を重ねる。

「口約束じゃ意味がない。書面にして」

冬木颯真がすぐに秘書へ指示し、法的効力のある絶縁合意書が運ばれてきた。

冬木涼子と冬木紳助は、それぞれ署名する。

冬木涼子は自分の控えを折り畳んでポケットへ入れ、身分証とスマホだけを手に取った。他には何も持たず、振り返りもせずにリビングを出る。

ちょうどその時、迎えの一行が到着した。

御堂家の迎えは、車列だけで圧倒的だった。

先頭の車は世界限定モデル。ボディは磨き上げられ、塵ひとつない。

ボンネットには高価で艶やかな薔薇が幾重にも飾られ、その後ろに同型の車が整然と連なる。数十台――視線を伸ばしても、終わりが見えない。

冬木雨音は涼子を笑いものにするつもりで出てきたのに、この豪奢な光景を見た瞬間、嫉妬で目を赤くした。

悔しさを隠しきれず、涼子を睨む。

「御堂柊吾、ずいぶん金かけるじゃない。でも聞いたわよ。あいつ、足が動かないまま何年もで、性格も歪んでて……御堂家に送られた女は、誰ひとり初夜を越えられないって」

「嫁いだら、せいぜい――」

パァン!

乾いた音が響いた。

冬木涼子の平手が、容赦なく冬木雨音の頬を打ち抜いたのだ。

雨音はよろめき、倒れそうになる。

生まれてこの方、誰も彼女に手を上げたことなどない。

それを――見下してきた冬木涼子に、殴られた?

冬木雨音は頬を押さえ、甲高く叫ぶと、涼子へ飛びかかった。

「私を殴った!? クズ! 殺してやる!」

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四兄:「どうしてこんなにつまらない脚本しか上がってこない?」――彼女がもう執筆しないからだ。
五兄:「この義肢は、なぜこんなに出来が悪いんだ?」――彼女が製作をやめたからだ。
六兄:「なぜチームが負けた?」――彼女が脱退したからだ。

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竜王の花嫁

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竜王の花嫁になるって、いったいどういう意味なのだろう?


偉大なるイグナス王国を形づくる七つの村では、毎年欠かさず「選定の儀」が執り行われていた。その儀で村の娘のひとりが選ばれ、恐るべき竜王の花嫁となるのだ。

なぜそんな儀を年ごとに続けるのか、誰にもわからない。これまで選ばれていった花嫁たちが、その後どうなったのかも――。

奴隷にされているのか?

竜の餌にされているのか?

それとも……竜王自身が、彼女たちを喰らっているのか?

それだって否定はできない。王は自分たちとは違う、人ではないのだという噂があるのだから。

それでも、その疑問は執念深く人々の胸を苛んだ。

いったい、花嫁を何に使っているのか――!?

だが、誰も王に問いただそうとはしなかった。逆らうなどという無謀が、どんな運命を呼び込むかが怖かったのだ。

もっとも、そんなことはベラドンナの知ったことではない。今年は彼女の村が花嫁を差し出す番だったが、自分が選ばれるはずがないと彼女は確信していた。

なぜかって?

もちろん、計画があるからだ。そして彼女は、その計画が自分を裏切るはずがないと信じ切っていた……いや、本当にそうだろうか。