第030章 天才医師・葵とはいったい誰なのか

医者は悔しげに首を振った。

「……わかりません」

そのひと言が、冬木陽斗に死刑宣告を下した。

冬木美蘭の世界はまた崩れ落ち、泣き叫ぶ声が病室に充満する。耳障りなくらいに、ただただうるさい。

天才医師・葵がどこにいるのかさえわからない。そんな相手に、どうやって助けを乞えというのか。

冬木紳助は泣き声に苛立ち、吐き捨てた。

「……泣くの、やめろ。いい加減にしろ」

冬木雨音が美蘭の肩を支える。

「お母さん、もう……」

「触るな! 近寄るな!」

冬木美蘭は雨音を乱暴に突き飛ばし、指を突きつけて怒鳴り散らした。

「全部あんたのせいよ! あんたが陽斗を外に出したから! 崖から落ちて...

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