第037章 互いに傷つけ合う

たったその一言で、冬木雨音はもう我慢の限界だった。

雨音がいちばん耐えられないのは、自分を冬木涼子と比べられること。

胸の奥に押し込めていた怒りが、この瞬間ついに堰を切った。雨音は振り向きざまに冬木陽斗へ噛みつく。

「試合に出るって言い張ったのはあんたでしょ。私に鍵を開けてって泣きついてきたのもあんた。足を折ったからって、私に何の関係があるの? それはあんたが下手なだけ。腕が足りないだけ。あんたが――」

「ああああ――っ!」

冬木陽斗も、ついに切れた。

陽斗がいちばん嫌いなのは、技術がないだの下手だのと言われることだ。

堪えきれなくなった陽斗は、手近なものを掴んでは投げ、掴んで...

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