第049章 彼は一歩一歩墓へと歩み入る

冬木颯真は全身が凍りついた。信じられず、乱暴に目をこすってもう一度確かめようとする。

だが、その人物はすでに階段を下りてしまっていた。

もう何も見えない。

さっきまで頭をよぎっていた荒唐無稽な考えが、一気に滑稽へと落ちた。冬木涼子のはずがない。

冬木涼子がどんな立場だと思っている。ウェイトレスの面接を受けるような人間が、佐伯荀みたいな大物と知り合いなわけがない。

見間違いだ。

絶対に見間違いだ。

あれが冬木涼子であるはずがない――颯真はそう信じ込んだ。

佐伯荀は冬木涼子を見送り、戻ってくるなり冬木颯真を視界に入れた。さっきまでの笑みが一瞬で消え、冬木颯真を見る目は、まるで汚物...

ログインして続きを読む