第053章 夫に泣きつく

店員はもう立っていられなかった。膝ががくりと崩れ、そのまま田中唯の目の前に膝をつく。

「店長さん、すみません、すみません……私が悪かったです。人を見下すような真似、するべきじゃありませんでした」

そう言うなり、彼女は自分の頬を思いきり叩いた。ぱん、と乾いた音が店内に響く。

顔を上げたときには、片側が赤く腫れた頬のまま、泣き縋るように訴えてきた。

「店長さん、私のこと知ってますよね……私、母子家庭で育って、母が必死で私を大きくしてくれて……でも今、母が病気で、毎月薬代がかかるんです」

息を吸い込むたびに、声が震える。

「夫も早くに亡くなって……子どももいるんです。ここをクビになった...

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