第067章 この「遠慮しないで」が本当に腹立たしい

二十万スタートのムーンストーンを、江崎悠白は口を開いた瞬間に五倍へ跳ね上げた。

場内から、音が消える。

そもそもムーンストーンは睡眠にしか効能がない。必要としているのは、眠れない人間だけだ。興味のない者からすれば、ただの石ころに過ぎない。

この場にいる多くは、別の目玉を狙って来ている。江崎悠白がいきなりここまで吊り上げ、「絶対に取る」という顔を見せた時点で、追随する者はいなくなった。

司会が声を張る。

「ムーンストーン、100万、いち……100万、に……100万――」

「さん」と言い切る前に。

「200万!」

別の声が割り込んだ。再び、倍。

江崎悠白の表情がわずかに曇り、視...

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