第089章 彼女は人間なのか?

冬木涼子は落ち着いた目で彼を見つめた。

「私、明日にはK市を離れるの。だから……あなたの妹さんの治療は、もう続けられない」

広末周平の瞳から、光がすうっと引いていく。

冬木涼子は言葉を継いだ。

「でも、そんなに思い詰めることはないわ。妹さんの病気は手遅れってわけじゃない。ちゃんと治す手立てはあるの」

そう言いながら鞄から紙とペンを取り出し、住所と電話番号を書きつける。

それを彼に差し出した。

「私の知り合いの循環器の専門医よ。ここを訪ねて。私の紹介だと言えば、きっと助けてくれる」

一拍置いて、念を押すように続ける。

「妹さんの状態は重くない。きちんと治療を受ければ、普通に長...

ログインして続きを読む