第6章

 野々村歩奈が停学処分を受けていた最終日は、あいにくにも彼女の誕生日だった。

 ここ最近の彼女の振る舞いに父も母も腹を立ててはいたものの、リビングには控えめながらも誕生祝いのバルーンが飾られ、家の中にはどこか浮ついた空気が漂っていた。

 朝食の席で、野々村歩奈はおずおずと、縋るような瞳で私を見上げた。

「お姉様、よろしければ……一緒に誕生日ケーキを作っていただけませんか?」

 その声は蚊の鳴くようにか細く、いじらしい。父と母はすぐさま私に視線を向け、その瞳にはありありと期待が満ちていた。私たち姉妹が仲直りする光景を、心から見たいようだ。

 私は優雅に微笑んで頷く。

「もちろんいい...

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