第113章

大家主は金育という、まだ子どもみたいな子だった。

神崎飛鳥が連絡して「部屋を借りたい」と告げた瞬間、金育は目を丸くして、何度も何度も確認してきた。本当に借りるのか、と。そりゃそうだ。募集の紙を外壁に貼り出してから一年、問い合わせはゼロ。仲介に話が来たと思えば、内見だけして逃げるように帰っていく。ようやく「借りる」と言う人間が現れたのだから、嬉しくないはずがない。

そもそも、貸せないのは彼女だって被害者だ。まさか自分の部屋で殺人事件が起きるなんて、思いもしなかったのだから。

だいたい二年前のこと。金育は部屋を、母子と二十歳前後の若い女の子に貸していた。二組のルームシェアで、暮らしぶりは穏...

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