第120章

「唖、手ぇ動かせ。さっさとこの洗い物片づけろ。前が詰まってんだよ」

  主任は見下すように顎をしゃくり、男を指さした。

「早くしろって言ってんのが聞こえねぇのか? ほら見ろ、横にどんだけ溜まってると思ってんだ。ぐずぐずすんな。俺が情けかけてやってるから使ってやってんだぞ。お前みたいな唖、誰が雇うんだよ。仕事は遅ぇ、すぐサボる」

  さらに畳みかける。

「……今、心ん中で俺のこと罵っただろ? 感謝しろよ。俺が拾ってやらなきゃ、お前みたいな身分証もねぇ唖が、こんなマシな仕事にありつけるわけねぇだろ。下手すりゃ今ごろ路上で寝てたぞ!」

  唖と呼ばれた男は、背を丸めたまま赤い油の浮いた洗...

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