第13章

神崎飛鳥は仕事帰り、焼き鳥屋の前を通りかかって――胸を張るように、羊肉串を二本買った。

脂がじゅわっと弾け、香りが鼻を殴る。クミンと唐辛子をふり、刻みネギをぱらり。通るたびに涎を飲んでいたのに、今日はついに二本いける。二本だ。

昔なら、そんな贅沢できるわけがない。けれど今は、生活に光が差している。だから今日は、ほんの少しだけ自分を甘やかした。

一本は歩きながら食べる。もう一本は夜に取っておく。最近は夜食が流行りだし――自分だって、夜食を食べられる側の人間になったのだ。

いい仕事に就くって、こういうことか。生活水準が、目に見えて跳ね上がる。

串をかじりながら病院へ向かい、ついでに夕飯...

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