第145章

首なしの幽霊が、あるはずのない額をぽりぽり掻きながら言った。

「お、俺……大家なんてやったことねぇよ」

腕なしの幽霊も落ち着かない様子で続く。

「俺もだよ。なんか緊張する……」

首なしだけじゃない。赤い服の女の幽霊だって、実のところ初めてだ。

全国に十軒どころじゃない物件を持っているくせに、普段は放置。家賃なんて端金だし、そんなことに手間をかけるくらいなら契約をもう何本か取ったほうが早い――そういうタイプだった。

そこへ中年の女幽霊が、しみじみと語り出す。

「うちは家が一軒だけだったの。旦那には兄弟が五人いてね、うちの人はほんとに真面目で……ほかの兄弟は家を二軒ずつ分けてもらっ...

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