第160章

倉中の二つ目の根城は、E市近郊の神楽山にある――そういう話だった。

ここも名の知れた山だ。大龍山みたいに映画のロケ地で売れたわけじゃない。景色がいい。稜線はうねり、木々は濃く、登山客が絶えない。半分は観光地みたいなものだ。

神崎飛鳥は山麓に立っていたが、山だの水だのを眺める気分じゃなかった。

なにせ今の彼女は目が見えない。輪郭がぼやけて、何を見ても「それっぽい影」にしかならない。それよりも胸の中を埋め尽くしているのは、もうすぐ大金持ちになれるという期待だ。金さえ手に入れば、景色なんて後からいくらでも見られる。

問題は山道だった。

倉中が財宝を隠した「穴」は、どう考えても人間に見つか...

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