第193章

神崎飛鳥は老僧に連れられ、農家の小さな院へ入った。二階建ての家で、裏手には畑が広がっている。犬にかじられたみたいにボロボロの桃の木がひとかたまり植わっていて、その下に石のテーブルと石の腰掛けが二つ。壁際には洗濯機まで置いてあった。

 老僧が門を開け、手招きする。

「さあさあ、入れ入れ」

「お坊さんなのに、お寺に住まないんですか?」

 神崎飛鳥が首をかしげると、老僧はわざとらしく深い顔をした。

「出家の身は些末にこだわらん。四海を家とする。どこにおっても家は家じゃ。形に縛られるのは、よろしくない」

 なるほど、そういうものかもしれない。神崎飛鳥はあっさり納得し、この老僧、境地が高い...

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