第38章

  痩せぎすの男が青ざめて顔を上げる。そこに立っていたのは――さっき自分が金を奪った、あの長髪の女だった。

  追いついた? こんなに早く?

  ありえない。あいつは足が悪いはずだ。追いかけて来られるわけがないし、まして自分の居場所を突き止められるはずもない。

  それに、男はようやく悟った。

  この長髪の女は、自分が思っていたような「ちょろい相手」じゃない。

  陰気な雰囲気はさっきと変わらないのに、目つきがまるで違う。人を見下ろすような、ねっとりした悪意。睨まれた瞬間、喉の奥がひゅっと縮み、背中に汗が噴き出す。まるで今にも噛み殺しに来る悪霊――そんな目だった。

  痩せ男は...

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