第52章

その可能性に思い至った瞬間、彼らは背筋が粟立ち、遅れて押し寄せてきた恐怖に顔色を失った。

安倍晴明は病室の男たちを一人ずつ丹念に見て回る。誰もが大小の傷を負い、幽霊の気配もわずかにまとわりついていた。だがそれは残り香のようなものだ。日光に当たっていれば、いずれ薄れていく。

問題は岩本哲郎のように、幽霊怪に身体を「使われた」者だ。本来、人の肉体は悪霊の邪気に耐えられない。しかもその邪気は、悪霊が消えたからといって一緒に消えるものでもない。上級の霊符を用いた祓いの作法で、きちんと抜いてやる必要がある。

ところが――今の岩本哲郎は、ほかの操られていた者たちと同じく、体内の邪気がきれいに消えて...

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