第9章

神崎飛鳥の新しいバイト先は、隣の遊園地だった。大きなクマの着ぐるみを着て、子どもたちに風船を配る仕事である。

この仕事、彼女には実に都合がよかった。着ぐるみを着て、頭のパーツまで被ってしまえば――前歯がないことなんて、誰にも見えない。本人にとっても気が楽だ。やることは風船配りで、チラシ配りと大差ない。前歯のせいで口元を気にしなくていいなら、自分にも十分こなせるはずだった。

もちろん、こんな条件のいい仕事を見つけられたのは、赤い服の女の幽霊がくれた新情報のおかげだ。あれがなければ、どこにこんなバイトが転がっているというのか。

ただ、飛鳥は思い知らされることになる。

一日中風船を配ってみ...

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