第104章

私の声が落ちた瞬間、病室は怖いほど静まり返った。聞こえるのは、心電図モニターの単調で冷たい電子音だけ。まるで六条修介のかすかな命を、秒刻みで数えているみたいに。

私は貪るように、六条修介の紙みたいに白い顔を見つめた。指先で、手の甲に浮いた青い血管をそっとなぞる。生きている証。けれど、触れたら壊れてしまいそうなほど脆い。

「松崎莉緒、しっかりして」

六条莉々が近づき、私の肩を押さえた。掌は氷みたいに冷たく、わずかな震えが伝わってくる。

「ここは一時的に安全でも、長くはいられない」

私は顔を上げた。目の奥に、痛いほど冴えた意識が宿る。

「連れて行きたいの。スイスでも、東南アジアのプラ...

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