第119章

落合睦生の声だった。

銃声と怒号の渦を突き破り、何枚もの壁さえ貫いて届くその声は、狂気じみた独占欲と激しい憤怒を孕み、鉤爪みたいに私の背中へ深々と突き刺さる。

「見つけ出せ! 生きたまま連れてこい! 逃がした奴は――命で払わせる!」

足が、ほんの一瞬止まった。

私の迷いを察したマルコが、手首を握る力をいきなり強める。関節が軋み、外れそうなほどだった。

「振り向くな!」

振り向かなかった。

階段の突き当たりには防火扉。マルコが片手で押し開けると、冷たい風がガソリンの匂いを連れて吹き込んできた。

地下駐車場の照明は心許なく、招待客の高級車が何台も乱雑に停められている。遠くで誰かが...

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