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「明日の朝9時。下で待ってる」

それだけ言い捨てて、彼は踵を返した。自分の執務スペースへ戻り、薄汚れたような黄ばんだ照明の海に溶けていく。残されたのは、孤高で、容赦なく決別を告げる背中だけ。

私はほとんど逃げるように、息苦しいあのビルを出た。

襟元から冷たい風が入り込んだ瞬間、自分の背中に冷や汗がべっとり張りついているのに気づく。

車に滑り込み、ルームミラーに映った顔を見た。血の気が引いて白い。心臓だけが制御を失って、どくどくと暴れている。

六条修介という男は、巨大な渦だ。

じわじわと包囲を狭め、私の理性も警戒も、少しずつ飲み込んでいく。

自分のいちばん血腥くて、いちばん矛盾し...

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