22
身なりのいい責任者が、愛想よくこちらへ歩み寄ってきた。私たちが美術品への投資目当てだと知った瞬間、目の奥に浮かんだ侮りはほとんど隠しきれていない。それでも職業意識なのだろう、口元には丁寧な笑みを貼りつけたままだった。
私はわざと世間知らずの成金みたいに振る舞い、壁に掛かった意味不明な現代絵画をあれこれ指さしては、浅薄で素人丸出しの感想を並べ立てる。
ギャラリーの中枢にある帳簿へ触れるには、本当の責任者に会わなければならない。
そして責任者に会ういちばん手っ取り早い方法は、向こうにとっての上客になることだ。
展示室をぐるりと見回した末、私は一枚の抽象画に目を留めた。大きさはそれほどでも...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5
6. 6
7. 7
8. 8
9. 9
10. 10
11. 11
12. 12
13. 13
14. 14
15. 15
16. 16
17. 17
18. 18
19. 19
20. 20
21. 21
22. 22
23. 23
24. 24
25. 25
26. 26
27. 27
28. 28
29. 29
30. 30
31. 31
32. 32
33. 33
34. 34
35. 35
36. 36
37. 37
38. 38
39. 39
40. 40
41. 41
42. 42
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
縮小
拡大
