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私はすぐに察して、顔を上げた。わざと苛立ったふうに口を尖らせる。

「ケビン。そんなに説明されてもさっぱり分からないんだけど。結局、買うの? 買わないの? 私、ネイリストの予約入ってるんだけど」

六条修介はティーカップをソーサーに置き、こちらへ顔を向けた。その目には、甘やかすような色が混じっている。まるで、面倒なわがままを言い出した妻を宥めるみたいに。

そして――ゆっくりと、金縁の眼鏡を外した。

鼻梁から眼鏡が離れた瞬間、作り物の穏やかさがすっと剥がれ落ちる。洗練だの紳士だの、そんな仮面は跡形もない。

彼はソファへ深く身を沈め、脚を組んだ。冷えた視線が、凍りついた千野館長の顔へ落ちる...

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