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弁護士になった理由が、この瞬間ほど鮮明に輪郭を持ったことはない。

玉子は呆然と私を見つめ、瞳に溜まった涙がつう、と頬を伝った。

――分かっているのだ。彼女には、私を止められない。

しばらくして、玉子は私の腕を放すと、手の甲で乱暴に顔を拭った。泣き腫らした目から怯えの色が引き、代わりに、退く場所を自分で焼き払ったような覚悟が宿る。

「……分かった」

玉子は息を整え、言い切った。

「私も一緒に行く」

「ダメ」

私は反射みたいに拒んだ。

「危険すぎる。あなたには関係ない」

「関係ないわけないでしょ!」

玉子の声が跳ね上がる。

「あの報告書は私の全部なの。中川秋彦って詐欺師が...

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