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「本当だ! 嘘じゃない!」

男は最後の命綱にすがりつくみたいに、出入口の看守へ声を張り上げた。

「俺のブリーフケース! 証拠品保管室にある! 中に契約書が入ってるんだ! 俺があいつにサインさせた法人譲渡契約書! ちゃんと文字で残ってる、署名も拇印も――!」

胸の奥がどくんと跳ねた。けれど顔には出さない。出すわけがない。

数分後。

木下工場長が命綱だと信じて疑わない「契約書」が、私の手元に届けられた。

表向きは、ごく普通の法人変更の合意書。

だが条文の細部――まるで針の穴に糸を通すような書きぶりで、工場の運営リスクと法的責任のすべてが、新法人へ、つまり中川英樹へと移るよう仕組まれ...

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