第46章

私はその足で、六条莉々が働くオフィスへ向かった。

予約は入れていない。受付に止められかけたが、私はそれだけ告げた。

「六条お嬢さんにお伝えください。キングスレー事件の松崎弁護士がお目にかかりたいと。欧州からの委任の件です」

数分後、六条莉々の秘書が丁寧に案内してくれた。

応接室を抜けた先の執務室は、本人そのものみたいだった。緻密で、高価で、隙がない。そしてどこか、触れれば指を切りそうな冷たさ。

六条莉々は大きなデスクの向こうに座り、仕立てのいいシャネルのスーツに身を包んでいた。メイクは完璧で、欠けたところがひとつもない。

私を見るなり、驚いた様子は微塵もない。むしろ上品に手を上げ...

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