第53章

オールド・ジョン書店。午後の陽が、埃で曇ったガラス窓を透けて差し込み、空気の中に無数の塵をきらきらと浮かび上がらせていた。

私は力をすべて抜かれたみたいに、教授の向かいで硬直していた。耳の奥がじんじん鳴る。世界は色を失い、白と黒だけになる。

闇、そのもの。

その一言が、頭蓋の内側で雷みたいに炸裂した。愛と信頼でようやく積み上げた世界が、真っ二つに割れて、粉々に散る。

唇は動いた。なのに、声が出ない。

理性は「あり得ない」と喚いている。けれど、恐怖で歪んだリナの顔が、くっきりと脳裏に焼きついていた。教授の沈痛で重い表情と重なって、逃げ場を塞いでくる。

「……信じない」

やっと拾い...

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