第64章

六条修介POV

火災の後始末は、糸が絡まったみたいに面倒だった。夕刻、ようやく六条家の本邸へ戻る。

書斎でオンライン会議を終えた直後、六条莉々が突風みたいに飛び込んできた。抑えきれない怒りと焦りが、その顔に張りついている。

「兄さん!」

彼女はスマホを、目の前のマホガニーの机に叩きつけた。鈍い音が腹に響く。

「説明して。今すぐ」

俺は視線をノートPCから外し、スマホの画面へ落とす。

そこには写真が数枚。明らかに盗撮だ。

ニューヨーク公共図書館の正面。松崎莉緒が入口の前に立ち、スーツ姿の老人と向き合っている。距離はあるのに、二人の間に漂う張り詰めた空気だけは、はっきり伝わってき...

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