第72章

松崎莉緒POV

あの一件で世間を揺るがしかねない動画と、私がまとめ上げた「黒蛇」組織の背景資料をひとまとめにし、匿名でダグラス教授の暗号化メールへ送った。

すべて終えて隣を見る。六条修介は書斎の薄暗い灯りの下で、いっそう沈んだ顔をしていた。

「……信じてもらえると思う?」私は小さく尋ねた。

「信じるさ」六条修介は迷いなく言い切る。「教授が信じるのは証拠そのものじゃない。差し出した君だ。だが、これだけじゃ足りない。拒めない切り札が要る」

彼は私の手を取った。温かく乾いた掌。抗えない力がそこにある。

「松崎弁護士。君の恩師に会いに行こう。次は、もっと大きい賭けだ。付き合う覚悟はある?...

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